仕事で妙高市内を抜けて長野県に行くことがあります。そのときたまに、主要道路の国道18号線ではなく、旧国道を通っていきます。
この旧国道は北国街道と呼ばれる歴史ある道で、江戸時代には越後の国をはじめ、周辺の信濃や加賀・佐渡の物流に大きな役割を果たした道だったそうです。
妙高市の最南端には、この北国街道の重要な関所『関川の関所』が史跡として残っています。
普段何気なく通っている道が、今の私たちの暮らしにどうつながっているのか、その歴史に興味を持ちました。
今回は、『関川の関所』と北国街道が担ってきた役割を学べる『道の歴史館』を紹介します。
旧国道に突然現れる趣ある門と橋
『関川の関所』があるのは、新潟県と長野県の県境です。
車で旧国道を長野県側から走ってくると、新潟県との県境を示す看板が見えます。
この県境の橋に並んで架かっている橋が、「関川の関所」の入り口です。旧国道から見ると、種類の違う橋がふたつ並んでいるので、不思議な構図です。
長野県側の橋のたもとにある駐車場に車を止めて、関所に向かいます。
橋の上から下流の眺めがきれいですね。遠くに見えるのは志賀高原でしょうか。この関川は妙高市、上越市を通って、日本海へとつながっています。
貴重な資料や文献がそろう「道の歴史館」
橋を渡ると木々に囲まれた中に、石垣と整備された歩道が続きます。
旧国道から見える位置ではないので、自然の中に急に現れたような印象を受けました。
観光地の雰囲気が一気に高まります。
御門の奥にあるのが「道の歴史館」です。
右側にはお奉行様のお定めごとが、左側には入館についての案内が書かれています。よく読んでから中に入りましょう。
館内に入るとすぐに受付があります。ここで入館料を支払います。
2フロアに分かれた展示室には、貴重な文献や道具が数多く展示されています。今回は特別に一部を撮影させていただきました。
1階展示室の入り口にある、関所の遠景画です。
関川の関所は、越後や北陸から信州の善光寺への参拝や、諸大名の参勤交代の際にも関門として使用された、重要な要衝だったそうです。
また、佐渡の金銀を江戸城へ輸送する際や、北前船で運ばれた瀬戸の塩を信州へ運ぶ物流の動線としても使用され、越後に5箇所あった関所の中で最も重要視されていました。
2階には、当時の旅人の様子を再現したマネキンやジオラマがありました。実際に使用されていた手形や旅道具も展示されています。
シアタールームも用意されていて「北国街道 歴史紀行」など映像で歴史を学べます。
旅人になりきって当時の関所通過を再現してみて!
歴史館の敷地内には、当時の関所が再現された建物があります。
建物の中では、お役人さんが厳しい表情で通行の理由などを取り調べています。
当時は、この関所の取り調べによっては通行できないこともあったようです。そのため、関所を避けて密入国する「関所抜け」と呼ばれる裏道も存在したのだとか。もちろん、見つかると大罪として処罰されたそうです。
こういったものは、歴史観光スポットでは定番でしょうか。
かつらや着物など、当時の旅人になれるセットが借りられるようです。家族で旅人になりきって、子どもを御籠に乗せて通ったら喜びそうですね。
隣のそば処で手打ち蕎麦をいただく!
『道の歴史館』の隣には、手打ちそばが味わえる「御宿 せきがわ」があります。
古民家を改築した建物で、歴史ある雰囲気が感じられます。歴史館のスタッフさんにも勧められたので、昼食に寄ってみました。
手打ちそばに野菜の天ぷらとごはんが付いたセットをいただきました。
850円のお得なランチメニューです。
本格的な手打ちそばと、揚げたての天ぷらがこの値段で食べられるのは嬉しいですね。
ごはんと漬物がついてボリュームも充分。
今後、昼食時に長野に向かうときのお店の選択肢が増えました。
『関川の関所』は旧国道沿いの県境という場所柄、普段の生活のなかで行ける場所ではないかもしれません。
しかし、行ってみるとその本格的に再現された史跡と、大量に集められた貴重な展示品に驚かされます。
ぜひ『道の歴史館』で、江戸時代から現在に至る妙高市の遍歴を学んでみてはいかがでしょうか。
関川の関所 道の歴史館
住所:新潟県妙高市大字関川272
アクセス:えちごトキめき鉄「妙高高原駅」より車で5分
上信越自動車道「妙高高原IC」より車で5分
電話:0255-86-3280
営業期間:4月10日~11月30日
営業時間:9:00-17:00
定休日:期間中無休