郷土の歴史的人物にあやかった複合施設 上越市「ゑしんの里記念館」

みなさんは「ゑしん」という歴史上の人物を知っていますか?
「恵信尼」とも呼ばれ、浄土真宗の宗祖・親鸞の妻となった女性です。
親鸞の布教活動に広く同行し、晩年は現在の上越市板倉区で過ごしたそうです。

鎌倉時代から伝承されるこの人物にあやかった施設が板倉にあります。
高僧の妻、恵信尼についての学びを深めるだけでなく、地域のコミュニケーションの場や
観光スポットとして運営される地域の拠点、「ゑしんの里記念館」を紹介します。

期間限定!たくさんのひな飾りがお出迎え

ゑしんの里記念館があるのは、もう数100メートルで妙高市に入ろうかという板倉区の米増という地域。田園の向こうに妙高の山々が映えるきれいな場所です。

広い敷地に建つ建物は、 周囲の環境と調和のとれた落ち着いた雰囲気。
冬場はとても雪の多い地域ですが、しっかりと除雪がされているので、安心して駐車できます。

エントランスを入るとすぐに華やかな様子が目に入ります。
訪問した2月末は、3月の桃の節句に備えひな人形が飾られていました。
季節感があっていいですね。
ひな飾りはケースに入った卓上設置のものから、大型のひな段を組んだセットや天井からの
吊るし雛など種類もさまざま。
我が家では久しくひな人形を出していないので、懐かしい気持ちになりました。

並べられたひな人形は、それぞれ作りに個性がありますが、その中でも一番特徴的なのがこちらのひな飾り。なんと80年以上前のものなんだそうです。人形本体も着物もしっかりしていて、丁寧に、大切に保管されていたことがわかりました。

エントランスから奥に入ると、なんとさらに多くのひな段が並んでいました!
その数は6台、合計何体の人形がいるのかちょっとわからないくらいです。

丁寧に飾られたひな壇はもちろんどれもきれいですが、こうして並ぶと何か威圧感すら感じますね。
これらは数年前から近隣の住民の方から寄贈されたもので、最近はこのひな飾りを見に施設を訪れる方も多いのだとか。
毎年1月の終わりから飾られていて、今年は3月12日まで見られるそうです。

鎌倉時代を紐解く貴重な資料の数々

記念館のメインスペース、ゑしんミュージアムです。
ゑしんは越後で生まれ、親鸞の妻になったのちは関東や諸国での布教に同行し、晩年に越後に戻り板倉の地で慎ましく過ごしたといわれています。
ミュージアムにはその半生を描いた絵巻や、遠く離れた娘に宛てた書状が展示されています。

鎌倉時代の女性の書状が残っていること自体が珍しく、またその内容も豊かで格調の高い言葉で綴られていることから、ゑしんはかなり教養のある人物だったと推測されています。
こうした貴重な資料を眺めてゆっくりと過ごすことができます。

観光や地域コミュニティーのための重要な施設

記念館の中には、地域のコミュニティースペースとして使用される設備もあります。
こちらの和室は最大で48畳の一間につながられるスペースで、地域の会合や観光客の昼食の場として利用されています。
また、最大150人が収容できる大ホールもあり、講演や研修・展示会に使える多目的な設備として重宝しています。

観光情報コーナーでは、上越・妙高市の特産品を販売したり、季節のイベント情報を発信したりしています。
訪問したこの日は人気のイベント「春休み 親子で蕎麦打ち体験」の受付開始が近く、職員さんに案内をいただきました。

板倉区光ヶ原高原で採れるそば粉を使ったお蕎麦は評判が良く、自分で打ったらなお一層美味しくなるでしょうね。

ゑしんの里記念館は偉人の歴史を学べるだけでなく、季節感と郷土の暖かみが感じられる施設でした。
ぜひみなさんも訪れてみてください。

ゑしんの里記念館
住所:新潟県上越市板倉区米増27-4
アクセス:えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン「新井駅」から車で8分
     JR北陸新幹線 「上越妙高駅」から車で15分
電話:0255-81-4541
営業時間:10:00-16:00
定休日:火曜日

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。